水分活性の測定原理

 水分活性値(water activity,Aw)とは、下図のようなサンプル上ヘッドスペースの平衡時蒸気圧(p)を、同じ温度の水の蒸気圧(p0)で割った値です。言い換えると、ヘッドスペースの平衡相対湿度(ERH)を100で割った値ともなります。

 サンプル表面水分の持つ水蒸気圧(水分のエネルギー状態)を測定している事になります。

  水分活性値はサンプル中に含まれる自由水の割合に依存しています。自由水とはその他の成分の相互作用や束縛を受けていない水分として定義されます。その為、純粋な水分の水分活性値は1.00(平衡相対湿度100%)となります。一方、水以外の成分(塩分、糖分、炭水化物など)を混合させた場合は、それらの成分との相互作用による束縛を受けた結合水や表面に吸着する水分(吸着水)の割合が増えますので、水分活性値は低下していきます。

水分活性値から分かる事は?

①微生物の繁殖性パラメーター

 水分活性値が高い(自由水が多い)サンプルほど、微生物の繁殖性が高くなります。これは微生物の生育時に利用する水分は、結合水よりも自由水である事が好ましいからと考えられています。

 すでに様々な微生物において増殖可能な水分活性の下限値が判明しています(細菌:0.91、一般的なカビ:0.80)。そこで、製品の水分活性値をモニタリングする事で適切な対策が可能となります。製品の水分活性値を正しく把握する事がシェルフライフ(保蔵期間)の延長や包装材料の最適化などを検討する為のパラメーターの1つとして御利用頂けます。

②水分に関連した物性評価への展開

 水分活性値は微生物の繁殖性以外にも、下図のように様々な物性に関係しています。食品のテクスチャー性(食感、ガラス転移)や物理的特性(流動性、固結)の微妙な変化や、化学的な変質(メイラード反応、脂質の酸化、ビタミンの分解)についても水分活性を指標とした管理・研究が行われています。

 詳細はアプリケーションのページにてご覧ください。

どのように測定を?

 測定は非常に簡単です。直径4cm、高さ1cmのカップにサンプルを充填し、チャンバー内にセットしてスタートボタンを押すだけで自動的に測定がスタートします。作業者の熟練度に関係なく簡単、迅速、正確に水分活性値を測定する事が可能です。

 測定原理は計器の製造メーカーによって様々です。novasina社製の水分活性測定装置は、電気抵抗式センサーを採用していますので食品衛生法に関わる規格・基準にも準拠した測定が可能です。また、全モデルにおいて電気抵抗式センサーが採用されているのはnovasina社唯一の特長となっています。