賞味期限/消費期限の設定

 賞味期限/消費期限といった食品の期限表示は、基本的に製造業者または輸入業者がその表示を行う義務があります。

 

 これらの期限表示の設定については、社内試験による設定、外注業者による設定など様々な方法が各企業で行われています。

食品期限表示設定のためのガイドライン

 賞味期限/消費期限などの設定方法に関すしては、消費者庁より期限表示に関する情報食品期限表示設定のためのガイドラインとして公開されています。

 

 このガイドラインでは、期限を表示する食品についての責任を負う製造業者(または輸入業者)が科学的・合理的根拠をもって適正に設定すべきという内容が記載されています。

 

 ガイドラインでは科学的・合理的根拠としては「理化学的試験」、「微生物試験」、「官能試験」の3つを試験方法として、食品の期限表示に使用可能なものとしています。

類似製品を参考とした期限設定

 

 一方で、食品は商品の種類が膨大であることや商品サイクルが早いことから、上記のような試験/検査を網羅的に行うことは現実的ではなく、「食品の特性等を十分に考慮した上で、その特性が 類似している食品の試験・検査結果等を参考にすることにより、期限を設定す ることも可能であると考えられる。」という記載もガイドライン内にはあります。

 

 それでは同じような特性の製品に対して、何の根拠もなく同じ消費期限・賞味期限を表示しても良いのでしょうか?根拠となるデータ(温度、湿度、含水率、pH 等々)をどれだけ取るのかは、製造者・販売者の品質管理基準に拠って様々ではありますが、特に水分活性値は簡易的かつ科学的に食品の品質保持に関わる特性を提示できるデータと言えます。

<<水分活性値を測定する事で得られるメリット>>

 

 製品の水分活性値を測定する事で、以下のように期限設定の根拠となるデータを簡単に取得する事が可能です。

 

① 水分活性値を知る事で、品質変化リスクの種類を予測できます

 

 製品の水分活性値によって起こりうる品質変化リスクを開発段階で予測する事が可能になります(例えば、水分活性値が0.8以上の製品は細菌やカビによる汚染のリスク、水分活性値が0.5~0.7の製品は褐変による品質変化、水分活性値が0.2未満の製品は脂質の酸化、など)。起こりうる品質変化リスクを把握する事で、温度管理、品質保持剤の添加、バリア性パッケージの活用など、品質保持対策を講ずることが可能となります。

 

② 水分活性値をモニターする事で、製品ロット毎の品質変化のばらつきを回避できます

 

 開発段階で最適化した製品の水分活性値を生産現場でもモニタリングする事で、より強固な品質管理が可能となります。焼き菓子や乾燥工程が必要となる製品においては、仕上がり段階で水分活性値がそのまま品質保持の特性に影響を与えます。これらの値をモニタリングしておく事で、全てのバッチの品質保持に関する標準データとして活用する事が可能です。

 

※実際の消費期限・賞味期限の設定については、当社(DKSHジャパン株式会社)では責任を負いかねます点を御了承下さい。